子供の頃の画の記憶で印象的だったことを少し。
幼稚園の時、シクラメンを写生する時間があり、それで賞をもらった。
幼稚園児にゃ憧れの七色マーカーセットみたいな副賞をもらったのでよく覚えている。
シクラメンという花の名前もその時に覚えた。
それから小学校に上がってすぐ、身体測定の画を描く機会があった。
(写生大会のように学年全員参加)
私は体重計に乗っている児童を背中側から描いた。
当然その児童の表情は見えないので後頭部を描いたのだが、それを見た同級生達から
「あー顔がない!のっぺらぼうだー!」と冷やかされた。
私と同じような構図で描いている同級生が何人かいたので覗いてみると
皆が皆同じように顔だけが正面を向いており、目鼻口が描かれている!
今となればそれが「子供らしい」描き方ということも解るのだが。
私は皆と同じようには描き直さずに提出したところ、それが入賞したことで心は晴れた。
その後もクラス全体の行事で画の仕事があれば私が担当するようになっていったが
小学四年生の時に転校すると転校先には同じように画を得意とする者がいた。
皆が口を揃えて画が上手というM君のノートを見せてもらうと、当時の人気漫画「キン肉マン」のキャラクター「ウォーズマン」が描いてあったのだが、仮面の下の精密な機械がびっしりと描かれていたのを見て私はショックを受けたと同時に負けを認めざるを得なかった。
まず自分には仮面の下を描くという発想が無かったし、その細やかな技術も圧倒的だったうえに街から転校した私にとって児童の少ない田舎に自分より上手い奴がいるとは思ってもみなかった、という驕りみたいなものもどこかにあったかも知れない…。
その後も市主催の写生大会でM君が特賞で私が佳作、全国放送のアニメ番組のエンディングのイラスト投稿コーナーでも彼のだけが採用されたりとその差は歴然。
まるで藤子不二雄の「まんが道」のようなエピソードだが、M君と漫画を共作することは
無かったが後に一緒にバンドを結成することになる。それはまた別の話。